知っておくべき主要なグローバル規格と規制
IoTデバイスにおけるサイバーセキュリティのコンプライアンスは、もはやオプションではなく義務となっています。世界中の規制当局は、IoTデバイスの認証においてより厳しいセキュリティ要件の厳守を求めており、製造業者にとってこれらの新しい要件を理解することが、合法的にデバイスを販売・運用するために極めて重要です。
私たちは、規制要件の包括的な分析を行い、地域ごとの明確な違いを特定した結果、コンプライアンス、市場アクセス、法的リスクの軽減を確保するために、製造業者が対処すべきいくつかの総体的な傾向が浮かび上がりました。これらの要件を満たせない場合、罰金や製品の販売禁止にとどまらず、セキュリティの実際的な脆弱性、信用の失墜、顧客の信頼喪失といった重大なリスクが大幅に増加します。
新製品の開発でも既存製品の更新でも、関連する規制を正確に理解することが、コンプライアンスを達成し、セキュリティと信頼が最重要視される市場において企業の評判を守るための第一歩です。
なぜ今、IoTサイバーセキュリティ規制が強化されているのか?
IoTデバイスの数が指数関数的に増加する中、製造業者はセキュリティ・バイ・デザインの考え方で、あらゆるサイバー脅威に対応する必要があります。EU、米国、アジア太平洋地域などでは、任意のガイドラインから強制的なサイバーセキュリティ規制へと移行が進んでいます。長期に及ぶ開発において、コンプライアンスはもはや先延ばしにできない課題であり、グローバル市場で競争し合法的に運用するための必須要件となっています。
規制基準
各地域での市場アクセスと規制準拠の達成は、製造業者にとって大変な作業ながらも重要な課題です。高度なサイバーセキュリティ対策は、単にルールを守ること以上の意味を持ち、製造業者にとって次の2点で極めて重要です。
組織的・業務的影響:
サイバーセキュリティ要件を満たすには、以下のような技術または組織に関するチェック事項を明確にする必要があります。:
評判と信頼:
1件のセキュリティ侵害でさえ、企業の市場での地位を回復不可能なほど傷つける可能性があります。強固なセキュリティ体制で、顧客の機密情報を不正アクセスや悪用から守ります。
知っておきたい非準拠の代償(Quick Facts)
セキュリティ標準と法規制の違い
認証プロセスと規制方針を説明する前に、セキュリティ「標準」と「法規制」の違いを明確にすることが重要です。
多くの場合、規制はセキュリティ標準を参照してコンプライアンス要件を定義しています。つまり、標準は製品開発時に考慮すべき具体的な指針を提供し、規制はその実施と証明の仕組みを提供します。
主要なグローバル標準
ETSI EN 303 645(消費者向けIoTの基本的なサイバーセキュリティ要件)
NIST IR 8425(消費者向けIoT製品のコアベースライン)
ETSI EN 18031 シリーズ(無線機器のサイバーセキュリティ要件)
地域別の主要規制
欧州連合(EU)
RED EU(無線機器指令):無線機器の安全性、電磁適合性、電波利用効率を確保する枠組み。個人データとプライバシー保護のためのセキュリティ措置を義務化。
サイバーレジリエンス法(CRA)(2024年施行):
IoTおよびデジタル製品にセキュリティ要件を導入。
北米(米国)
Cyber Trust Mark(サイバートラストマーク):
アジア太平洋
シンガポール CLS(Cybersecurity Labeling Scheme):
日本 JC-STAR:
世界規模でのIoT拡大と今後
IoTがグローバルに拡大する中で、標準と規制の整合性はセキュリティとプライバシー確保の鍵となります。製造業者はコンプライアンスをプロアクティブに捉え、信頼を維持しながら市場に参入する必要があります。
複雑なIoT規制にどう対応するか?
DSRコーポレーションは、CSA Product Security Working Group(PSWG)の積極的なメンバーであり、25年以上のIoTプロトコルスタック開発経験を有しています。標準に準拠するだけでなく、複雑な規制環境に対する対応や、堅実なセキュリティ実装をサポートしています。
製品がどの位置にあるのか、将来の規制がどう影響するか不明な場合は、DSRにご相談ください。
次回の記事:IoTサイバーセキュリティ規制への対応方法
製造業者は、まず製品セキュリティにおける目標を明確にすることが重要です。設計段階からのセキュリティ実装が、長期的な成功を左右します。
次回の記事では、CSAとPSWGの統一フレームワークを含め、ベストプラクティスや構造化されたアプローチを通じて、具体的な実践ステップをご紹介します。