January 22nd, 2025

Mat­terを活用した接続性と互換性の拡張

Matterを活用した接続性と互換性の拡張

Matterを活用した接続性と互換性の拡張

Matterを製品戦略に統合することで、貴社のIoTソリューションを強化し、より広範なデバイスおよびプラットフォームとの接続により、エコシステムの拡張を可能とします。 Matterは、Connectivity Standards Alliance(CSA)がAmazon、Google、Appleなどの業界リーダーの協力を得て提唱される IPベースのプロトコルであり、セキュリティ、相互運用性、スケーラビリティに重点を置いた統一されたフレームワークを提供します。この共同標準は、IPv6、Thread(IEEE 802.15.4に基づく)、およびWi-Fiを主要な通信プロトコルとして活用し、スマートホーム環境における堅牢で低消費電力かつ安全なデバイス間通信を実現します。

既存のIoT製品へのMatter統合

Matterは、Zigbeeや独自プロトコルなど複数のエコシステムをブリッジング・ミドルウェアによって連携させることで、システムインテグレーターや製品メーカーに新たな選択肢を提供します。ブリッジングにより、Matter対応ハブは異なるプロトコルを使用するデバイスを制御可能になり、大規模な設計変更をせずに互換性を実現できます。Matter Bridgeのようなミドルウェアソリューションはプロトコル変換を行い、既存のZigbeeデバイスをMatter対応ハブで容易に操作できるようにします。これにより、既存の資産 を活かしつつ、異なるプロトコルやネットワーク(IEEE 802.15.4ベースを含む)間の相互運用性を高め、デバイスエコシステムの導入を簡素化します。

ブリッジング・ミドルウェアは、Matterプラットフォームのアーキテクチャと他のプロトコルを統合し、多プロトコル環境の中でシームレスなネットワーク構築を可能にします。このアプローチは、大量の既存デバイスを抱える企業にとって特に有効であり、高い互換性をコスト効率よく提供します。

ブリッジング・ミドルウェアが有効なシナリオ:

  • デバイスの相互運用性の最大化
     Zigbeeなどの既存ネットワークを保有している場合、ブリッジングによりMatter対応システムからそれらを操作でき、ハードウェアの変更なしに統一された操作体験を実現します。
  • エコシステム管理の効率化
     Matterおよび他プロトコルのデバイスを単一のプラットフォームで管理可能になり、ユーザー体験、遠隔管理、診断などを統一APIで簡素化できます。

Matterブリッジの利点

  • コスト効率
     既存のハードウェア設計を活用し、複数プロトコルスタックの実装する事なく、エコシステムのデバイスとの接続を可能にします。
  • ユーザー体験
     mDNSベースのサービスディスカバリーを使用し、Matter、Zigbee、その他のプロトコルのエンドデバイス間での操作を単一のインターフェースで実現します。
  • デバイス互換性の拡大
     非IPプロトコルを使用するデバイスをIPベースのMatterエコシステムで運用可能にし、製品寿命の延長と接続性の向上を図ります。
  • エコシステムの共存
     Apple Home、Google Home、Amazon Alexa、Samsung SmartThingsなど主要なスマートホームエコシステム間の互換性を強化します。

Matterとのブリッジングにおける重要な考慮点

  • 開発リソース
     Matterとの統合には、ファームウェア更新、プロトコル変換、互換性検証が必要です。Matterのモジュール型SDKやオープンソースライブラリ(プロビジョニングツールを含む)を活用することで、開発効率を向上させることができます。また、Matter専門家や第三者ベンダーとの協業によって、開発リソースの負担を軽減できます。
  • 技術的専門知識
     Matterスタックに関する深い理解(IPv6、mDNS、IEEE 802.15.4によるメッシュネットワーク、セキュアなコミッショニング手法など)が求められます。CSAのワークショップや技術ドキュメント、ケーススタディを活用し、チームのスキル向上を図りましょう。
  • マルチプロトコル管理
     統一APIによる集中管理プラットフォームを構築することで、複数プロトコルの制御が簡素化されます。ミドルウェアソリューションにより、Matter、Zigbeeなどの監視、診断、OTA更新の効率化も可能です。
  • 認証とコンプライアンス
     Matter認証の取得には、相互運用性、セキュリティ、性能に関する徹底的なテストが必要です。開発初期の段階でCSA認定のテストラボと連携し、事前テストを行うことで、問題の早期発見と解決が図れます。

ユースケース:スマートホームの相互運用性向上と新デバイスの拡充

システムインテグレーター向け

多くのシステムインテグレーターは、ZigbeeやZ-Waveといった技術を活用し、以下のようなカスタムエコシステムを構築しています:

  • 専用のゲートウェイと連携したカスタムクラウドソリューション
  • クラウドを介してエンドデバイスと接続するモバイルアプリ
  • クラウド・ゲートウェイ・モバイルアプリの三位一体による統合システム

これらのコンポーネントは連携し、通常はインターネット接続を前提に自動化と制御を提供します。インテグレーターは、こうしたエコシステムの構築またはカスタマイズに重要な役割を果たします。

既存システムの後付け拡張(レトロフィット)

長期的に見て、新たな要件が発生する可能性があり、既存インフラを置き換えることなくシステムを拡張する必要が生じることもあります。

  • 混在プロトコル対応:Matter対応および非対応デバイスを共存させることで、拡張性の高いインストール環境を提供
  • スマートホーム分野の拡張:スマートスピーカー、ロボット掃除機、食洗機、空気清浄機など、Matterに最適化された新デバイスの導入
  • エコシステム連携:Google Home、Apple HomeKit、Amazon Alexaなどへの対応、または別帯域で動作するデバイスとの互換性確保
  • 交換コストの削減:特に集合住宅などでのデバイス交換や再設定が困難な場合、既存設備の活用によって費用と手間を削減

メーカー向け

メーカーはスマートホームおよび産業用IoTエコシステムにおける相互運用性と機能拡張の推進において重要な役割を担っています。

製品ラインの拡張

Matter対応エコシステムとの互換性を実現するため、既存の非対応デバイスとのブリッジ製品の必要性が高まっています。このようなソリューションは以下の形態で提供可能です:

  • プロトコルをブリッジする専用デバイス
  • スマートスピーカーや制御パネルなどのエコシステムコントローラーに内蔵されたソフトウェアコンポーネント

製品ラインの統合

Zigbee、Z-Wave、独自プロトコルなどを用いた多様な製品群を展開するメーカーは、Matter Bridgeを活用してエコシステムを統一することができます。

  • Any-to-Matter Bridge:異なる製品群をMatterエコシステムへ接続し、ユーザーが単一のUIで全デバイスを制御可能に
  • 高い相互運用性:アプリやハブの多重化を減らし、システム管理を簡素化

独立したMatter Bridge製品の開発

Matter対応を目指すメーカーにとって、ミドルウェアブリッジは効率化の基盤となります。ZigbeeやZ-Waveなど既存プロトコルとMatterの翻訳機能 、既存製品を再設計することなくMatterの導入が可能です。この段階的アプローチにより、広範なデバイス互換性を実現しつつ、ブランドの先進性をアピールできます。

特殊環境におけるユースケース:制限のあるセキュア施設

政府機関やセキュリティの高い建物など、一部の施設ではIPベースの無線デバイス(Matterデバイスを含む)が制限される場合があります。しかし、そのような環境でも、Zigbeeなどの堅牢な非IPメッシュネットワークを活用し、カスタムブリッジングソリューションによってMatterとの連携を実現することが可能です。

シナリオ:

  • 機密エリア:カスタムファームウェアまたはハードウェアブリッジを使用し、セキュリティポリシーに準拠しながら外部のMatter対応エコシステムと接続
  • ベンダー制限設置:認定ベンダーのみが導入可能な施設では、インテグレーターやベンダーがMatter Bridgeをカスタム開発し、要件に応じたソリューションを提供

これらのカスタムブリッジは、非IPネットワークとMatterの統合における実用的なアプローチを提供し、機能性とコンプライアンスを両立させます。


20年以上の実績を持つDSR Corporationは、ハードウェアからユーザーアプリケーションまで幅広い製品分野にわたるソリューションを提供してきました。当社は、無線通信、クラウドシステム、組み込みソフトウェア、アプリケーション統合レイヤーなどの分野で専門性を有し、IoTイノベーションの信頼できるパートナーとしてご支援いたします。

マルチプロトコルデバイスの統合やIPエコシステムへのブリッジに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。DSR Matter Bridgeの詳細については、こちらをご覧ください。

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